【第127回】料理にも関係?水の硬度

※鳥海山の山麓に湧き出す湧水(遊佐町の“丸勝の水”)。湧水中のミネラルは、鳥海山の溶岩からもたらされたものです。

鳥海山・飛島ジオパークのエリアに見られる豊富な湧水は多くの生き物の命を支える貴重な恵みです。湧水の水質を表す代表例の一つが、硬度です。

水の硬度は、1リットルの水の中に含まれるカルシウムとマグネシウム(以降、これらをまとめて“ミネラル”とします)の量とされています。WHO(世界保健機関)の基準では、水の硬度が60㎎/L未満の水を「軟水」、60から120㎎/L未満の水を「中程度の軟水」、120から180㎎/L未満の水を「硬水」、180㎎/L以上の水を「非常な硬水」としています。この水の硬度の違いはなぜ生じるのでしょうか。

地下水中のミネラルは岩石からもたらされます。長い時間、地下水と岩石が接していれば、より多くのミネラルが地下水の中に溶け込むため、そのような地下水が湧き出すと、湧水は硬水になります。一方で、ミネラルが溶け込む前に地下水が湧き出ると、湧水は軟水となります。ただし、カルシウムを多く含む岩石(例えば石灰岩)が分布する地域や温泉の影響を受ける地域では、地中に滞留する時間が短くても湧水の硬度は高くなることがあります。

鳥海山麓に湧き出す水のほとんどは軟水です。軟水は出汁をとったり、緑茶を入れたりするのに適しているとされています。料理の際に、水の硬度も気にしてみてはいかがでしょうか。

一般社団法人鳥海山・飛島ジオパーク推進協議会 次長兼主任研究員 大野希一 氏
【文・写真】

一般社団法人鳥海山・飛島ジオパーク推進協議会 次長兼主任研究員 大野希一 氏