※サケの大きさに感動する園児たち
秋も深まり、日本海沿岸の川にはサケが帰ってくる季節を迎えました。生まれた川を忘れず、数年の旅を経て日本海を渡り再び故郷へ戻ってくる姿は、生命のたくましさと自然の循環を実感させてくれます。
鳥海山のふもとでは豊かな湧水が地域の川を潤し、冷たく清らかな流れを保っています。この環境こそがサケの生育を支え、長い旅を終えたサケにとって大切な「ふるさとの水」となってきました。
サケは古くから地域の食文化と深く結びついています。身や卵は貴重なタンパク源として利用され、保存食や季節の料理など、多様な形で人々の食卓を彩ってきました。さらに、漁や加工に関わる知恵や習慣は、暮らしの一部として受け継がれてきた大切な文化でもあります。
近年では、子どもたちがサケの遡上を観察したり、命のつながりを学んだりする教育活動も行われています。自分たちの足元にある自然と文化に触れる体験は、未来の地域を担う世代にとってかけがえのない学びとなります。
サケをめぐる自然と人との関わりは、「生物文化多様性」という考え方をよく示しています。自然の恵みを享受しながら、それを文化として継承してきた営みは、まさに地域の宝といえるでしょう。日本海と鳥海山の湧水が育むサケの物語は、これからも私たちが守り伝えていくべき大切な財産なのです。
