【第116回】鳥海山の土台―出羽山地

2024年9月1日

   ※海から見た鳥海山と出羽山地。出羽山地の上に鳥海山が成長した様子がわかります。

鳥海山の標高は2,236 mで、東北地方では福島県にある尾瀬・燧ケ岳(2,356 m)に次ぐ高さを誇ります。しかし、鳥海山は元々海抜0mのところから2,000m以上の高さに成長したのではなく、すでに山地となっていた所から成長を始めた火山です。この鳥海山の土台となっているのが、出羽山地です。

出羽山地(出羽丘陵)は、青森県西部から秋田県の中央部を経て山形県の中央部まで伸びる山地で、その延長は250 kmにも及びます。出羽山地をつくる山々は、海底火山の噴出物や、海底に堆積した泥や砂の層で出来ています。それらが標高1,000m近い場所にみられることから、出羽山地はかつての海底が地殻変動によって隆起し、押し上げられてできたことを示しています。

出羽山地の隆起が激しくなったのは今から約300万年前のこと。その理由は、この頃に日本列島の地下に沈み込む太平洋プレートの向きが変化し、東北地方全体が強く圧縮されるようになったためです。東北地方の美しい山々の景色は、300万年前から続く地球活動の営みの証です。



一般社団法人鳥海山・飛島ジオパーク推進協議会 次長兼主任研究員 大野希一

【文・写真】
一般社団法人鳥海山・飛島ジオパーク推進協議会 次長兼主任研究員 大野希一

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