【第129回】自然災害伝承碑からのメッセージ-庄内地震

     ※「甲午震災記念碑」2021年3月に国土地理院の自然災害伝承碑に登録されました。

庄内地方は、江戸時代以降3回の地震に見舞われています。一つは1804年に発生した象潟地震ですが、それ以降も1833年と1894年に強い地震が発生しています。これらのうち、1894年に発生した地震は庄内地震と呼ばれています。

庄内地震は1894年10月22日17時35分頃に発生しました。地震の規模を示すマグニチュードは7.0で、飯森山が崩壊したほか、海岸沿いに3メートルほどの小丘ができ、という記録が残っています。酒田町(当時)だけで3300以上の家屋が全壊する、という大惨事になった理由の一つは火事でした。石油ランプが各家庭に普及し始めた頃で、夕飯の準備をしていたところを地震が襲ったため、各所で火事が発生したとされています。液状化現象も広域で発生し、船問屋や米倉、港などが大きな被害を受けました。この地震が起こる3か月前に日清戦争が勃発したこともあり、政府からの援助は手薄でしたが、全国からの義援金や本間家を含む地元の有力者の支援によって、復興作業がすすめられました。

酒田市の日和山公園内にある「甲午震災記念碑」は、庄内地震の被害を後世に伝え、防災の心構えを促すことを目的に、1900年に建立されました。将来起こるであろう地震への備えに対するヒントが、ここに記されています。

一般社団法人鳥海山・飛島ジオパーク推進協議会 次長兼主任研究員 大野希一 氏
【文・写真】

一般社団法人鳥海山・飛島ジオパーク推進協議会 次長兼主任研究員 大野希一 氏