【第31回】「ジオパークと観光客をつなぐ食、ジオの恵み」
2017年7月1日
山形県と秋田県の観光統計資料によると、鳥海山・飛島ジオパークに属する酒田市と遊佐町、にかほ市、由利本荘市の3市1町には、年間約1,000万人の観光客が訪れています。観光の主な目的は登山や史跡や温泉巡り、イベント参加などですが、ジオパークの存在を知っている観光客はまだ多くはありません。全国各地のジオパークでもジオパーク訪問だけが目的で来る人は、子どもたちの学習や修学旅行などを除くと、まだ少ないのが現実です。鳥海山・飛島ジオパークエリア内で観光をしている人たちに、地域の「食」をジオとの関係で紹介してみませんか。
例えば、鳥海山の清冽な伏流水とその水ではぐくまれた米、そこから生まれる銘酒の数々は、「ジオ」の賜物です。酒田市の砂丘上(ジオ)で糖度を増す大玉のメロンや、その後作として栽培される大根。秋・冬の季節風(ジオ)を利用した干し大根づくりはまさに美味しい風景です。飛島周辺の海からは、海底地形と海流の影響で多種多様な魚介類が上がります。この地域の豊かな食は、自然界の活動と、そこに暮らす人々の働きかけの結果として存在しているのです。
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【文・写真】
宮城学院女子大学 現代ビジネス学部 教授 宮原育子氏