【第32回】
「日本海の誕生」
2017年9月4日
鳥海山・飛島ジオパークの,飛島は日本海の中にあります。その日本海は豊かな雪や水の恵みでこの地域の豊かな自然環境を作り上げています。今日はその日本海のお話をしましょう。
日本海の向こうには広大なユーラシア大陸がひろがっています。日本はかつてその一部にすぎませんでした。大陸のヘリに深い裂け目ができ,それがだんだん広がって(百万年ほどかかって)海になり日本列島ができたのです。
このように日本海ができたのは,じつは「たったの」1500万年前のことです。ずいぶん大昔ですが,地球の歴史に比べれば最近のできごとです。1年に1円だけ貯金したとしましょう。地球ができた時からお金をこつこつと貯めると46億円もたまることになります。日本海ができてからお金を貯めても1500万円。46億円と1500万円ではたいへんなちがいですよね。
日本海は1500万年前にできあがりましたが,それと同じように,今現在,新しい海ができているところがあります。それは沖縄トラフといいまして,沖縄本島の西にある長さ2000km,幅200kmの大陸(海の中ですので大陸棚)の裂け目です。1500万年前の日本海の姿をごらんになりたければ,ぜひ沖縄の久米島あたりから西をながめてみてください。
—
【文・写真】
秋田大学教育文化学部教授火山地質学専門 林 信太郎氏