【第25回】-鳥海山の高原のお話-

2017年1月1日

鳥海山の高原はいいですよね。北のほうにある由利原高原や仁賀保高原,山形県側の南のほうにある大台野(おおだいの)など,たいへん見晴らしが良く,快適です。標高が高く,大台野は標高500-600mもあります。

でも,なぜこのような高いところに平らな土地があるのでしょうか? その秘密は二つありますが,どちらも鳥海山のおかげです。

一つ目。鳥海山は時々崩れたことがあります。(崩れる原因は地震や小さな噴火など)。数十万年前のある日のこと,鳥海山は大きく崩れました。その土砂は北に広がりました。それまでデコボコだった土地を埋め立て,平らでゆるい起伏のある土地をつくったのです。これが由利原高原と仁賀保高原のできかたです。

二つ目。鳥海山の南にある大台野は「火砕流」によって作られた高原です。火砕流は熱い火山灰と熱い火山ガス、それに熱い岩がまじりあった流れです。おそらく十数万年前に大噴火が起こり,大量の火砕流が流れ出し,土地のデコボコを埋め立て平らな土地をつくったのです。これが大台野の台地です。

このようにしてできた高原には牧場が多いという共通点があります。鳥海山・飛島ジオパークのおいしい牛乳や乳製品は火山の恵みと言えます。すてきな風景を眺めながら火山の恵みを味わっていただければと思います。



秋田大学教育文化学部教授火山地質学専門 林 信太郎氏

【文・写真】
秋田大学教育文化学部教授火山地質学専門 林 信太郎氏

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