【第72回】誰も知らない!? 最上川河口鳥獣保護区
2020年12月1日
最上川の河口周辺とそこから南に延びる海岸林や砂浜が鳥獣保護区に指定されています。「チョウジュウホゴク?何それ?」そんな声が聞こえてきそうですね。この場を借りて「(最上川河口)鳥獣保護区」をご紹介します。まず鳥獣保護区とは、国(環境省)や都道府県が鳥獣の生息状況を踏まえ「鳥獣保護法」に基づき指定するもので、重要度によって普通地域や特別保護地区などがあり、狩猟が規制されるほか特別保護地区の場合は工作物の設置や樹木の伐採は許認可手続きが必要となります。
最上川河口鳥獣保護区は国(環境省)が指定(鳥海南麓自然保護官事務所所管)している保護区で、全域が普通地域、広さは1,537ha、東京ドーム約327個分、酒田市に位置するコスモス童夢だと約35200個分に相当します。本保護区は渡り鳥の集団渡来地であることが指定理由で、越冬のため多くのハクチョウやカモ類が渡来します。朝靄の飛び立ちは圧巻で、さらにカモ類を狙うオジロワシやハヤブサなどの猛禽類も見どころの一つです。近年注目しているのがチュウヒという中型猛禽類で、秋になると最上川の河川敷に姿を現します。河川敷が狩場や休息場として利用されています。全国的に数を減らしており見られる数はわずかですが、最上川河口は県内随一のチュウヒ渡来地だと思います。鳥海山・飛島ジオパークにはこのようなすばらしい野鳥の楽園があるのです。では“最上川河口鳥獣保護区”でお会いしましょう♪
—
【文・写真】
鳥海南麓自然保護官事務所 長船 裕紀氏