ジオパークは、ジオ(地球)に関わるさまざまな自然遺産、たとえば、地層・岩石・地形・火山・断層などを含む自然豊かな「公園」のことです。山や川をよく見て、その成り立ちに気付くことに始まり、生態系や人々の暮らしとのかかわりまでをつなげて考える場所です。足元の岩石から頭上の宇宙まで、数十億年の過去から未来まで、海や山の大自然からそこに暮らす生き物と人々までを一つにして考える。つまり地球を丸ごと考える場所、それがジオパークです。
ジオパークでは、地質遺産を保全し、地球科学の普及に利用し、さらに地質遺産を観光の対象とするジオツーリズムを通じて地域社会の活性化を目指すことを目的としています。ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の支援により2004年に設立された世界ジオパークネットワークにより、ジオパークは世界各国で推進されています。世界ジオパークネットワークにおいて、ジオパークとなる条件は以下のように定められています。
規模と環境 | 規模と環境 国際的・地域的・国内的に重要で、その地域の地史やジオパークをつくりあげた過 去の事象や作用がわかる地形・地質学的遺産であり、地形や地質と深く関わっていることが学 べる地域 (生態学的、考古学的、歴史的、文化的な価値のあるサイト)も含むこと。明瞭に境界 を定めた地域であり、その地域の経済や文化の持続的発展にとって十分な面積があること。 |
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運営及び 地域との関わり |
運営組織、運営計画、予算、人材を持ち、運営組織にはその地域の自治体、各種団体、地元企 業、住民、研究機関が参画していること。 |
経済開発 | 地域の地形・地質資源を保全しながら、その自然の特性を活かした経済活動(ジオツーリズム等) を推進し、持続可能な地域の経済発展をはかっていること。 |
教 育 | 地形・地質学的遺産を教育活動に活用し、生物多様性や地域の文化遺産と関連させながら 地質 遺産の重要性を伝えるものであること。 |
保護と保存 | 地域の法・規制と伝統に基づき、地形・地質学的遺産が適切に保護されていること。 |
ネットワーク への貢献 |
国際ネットワークの一員となり、知識・技術・経験の共有と、人的交流を行うものであること。 |
2016年9月現在、世界ジオパークネットワーク事務局会議にて認定される世界の地質遺産を対象とした世界ジオパークには、日本を含め33ヵ国、120地域の地域が登録されています。日本国内の世界ジオパークは以下の地域があります。
鳥海山・飛島ジオパークは日本ジオパークとして認定されています。日本ジオパークは日本ジオパーク委員会により認定される日本の地質遺産を対象としたジオパークです。2018年4月現在、日本ジオパークは前述の世界ジオパーク9地域に加え、以下34地域が認定されています。
日本においてジオパークとして認定されるには、日本ジオパーク委員会による審査を経て合格する必要があります。その後、世界ジオパークに認定されるには、日本ジオパーク委員会による国内審査に合格のうえ、世界ジオパークネットワーク事務局会議における審査に合格する必要があります。日本ジオパークと世界ジオパーク共に、4年に一度の再審査があるため、ジオパーク認定後も継続的な活動が求められます。
なお、2015年11月2日、世界ジオパークはユネスコの正式プログラムとなりました。「世界遺産」、「エコパーク」と並ぶ事業として、今後のさらなる発展が見込まれます。