鳥海山・飛島ジオパークの運営母体である一般社団法人 鳥海山・飛島ジオパーク推進協議会は、この地域で、今の世代だけでなく、将来の世代が自らの欲求を充たす生活ができるよう、ジオパークのエリア内に存在する地形地質・自然・文化的価値を有する地域資源を守りながら活用する活動を通じて、地球を守り、社会の持続可能な開発の実現を目指します。
そして、その目的を達成するために、「日本海と大地がつくる水と命の循環」をテーマに、多くの地域の団体や住民たちと協働して、ジオパーク活動を推進します。
(1)まもる:地域および地球の資源の保護・保全事業
今の世代だけでなく、将来の世代が自らの欲求を充たす生活ができる社会を構築するために、私たちは「鳥海山・飛島ジオパーク保護・保全基本指針」に基づき、関連する団体と協力しながら、国際的な地質学的価値を有する九十九島とその景観をはじめとするエリア内の地形地質・自然・有形/無形文化価値を有する地域資源と景観を認識し、それらをリスト化およびサイト化することで、地域資源の法的または実質的な保護・保全活動を促進させます。また、岩石・化石・鉱物といった地質物品の販売を軽減させるとともに、地域団体と連携し、気候変動に代表される地球課題を解決する活動に積極的に参加・協力します。
(2)創り出す: 学術研究による新たな地域資源の創出事業
学術研究は、これまで気に留めることのなかった石碑や構造物、私たちが目にする景観、自然環境とそこに棲む動植物、踊りや伝承などの無形物、そして私たちが暮らす大地をつくる地層や岩石および地形などに、新たな価値を与える活動であり、ジオパークエリアの質の維持と発展には必要不可欠です。
ジオパークエリア内の地域資源の学術的価値を創出し続けたり、既存の地域資源の価値をさらに向上させたりするために、私たちは、地形地質はもとより、生態や歴史文化、防災等、様々な分野の研究者を誘致し、地域研究の継続的な推進に積極的に協力します。
(3)学ぶ:地域および地球の資源を持続可能な方法で活用する教育事業
若い世代を中心としたあらゆる世代の住民が、教育活動を通じて地域資源の価値を認識すれば、住民の地域に対する思い入れと愛着は深まります。これは住民の地域資源に対する保護・保全の意識の醸成に繋がり、社会の持続可能な開発を担う人材を育成する基礎となります。さらに、気候変動やそれに付随して発生する自然災害に対処するためには、過去と現在の地球環境を正しく認識することも重要となります。
地球と社会の持続可能な開発を実現するために、ジオ協は、関連する団体と協力しながら、児童・生徒の発達段階に応じた教育プログラムの開発を進めます。また、地域の未来を担う若い世代はもとより、移住者を含むあらゆる世代の地域住民に、地球と地域の地形地質・自然・有形/無形文化資源の価値を伝える機会を提供し、地球と地域に愛着を持ち、将来の地域づくりを担う地域住民を育成します。
(4)活用する:地域および地球の資源を持続可能な方法で活用するツーリズム事業
社会を維持・発展させるうえで、経済活動は不可欠です。しかし、経済活動を優先させた結果、地域および地球資源の質や価値が損なわれる事態の発生は避けなければなりません。
私たちは、地域の観光関係者や農漁業・商工業に携わる団体、さらには文化活動を推進している団体と協力しながら、その質と価値を損なわない方法で地域資源をツーリズムに活用し、新たな経済を創出する活動を積極的に推進します。また、地域や地球の資源の価値や魅力を正しく、わかりやすく、そして楽しく発信する人材の育成に努めます。
(5) つくる:地域および地球の資源を持続可能な方法で活用する地域づくり事業
地域には、長年にわたって清掃活動を通じて景観や環境を維持したり、地域に伝わる郷土芸能を伝承したりしている人や団体が多く存在します。また、地域資源を持続可能な方法で活用し、地域経済を活性化させようとしている人や団体もいます。
私たちはこれらの人や団体と連携し、地域で展開されている地域資源の保護・保全活動を普及啓発すると共に、その活動の支援を通じて、地域づくりの実質的な担い手を増やす取り組みを推進します。さらに、活火山である鳥海山の噴火や日本海で発生する地震、台風や集中豪雨・豪雪などの激烈な気象現象に起因する自然災害に対応するために、防災機関と連携し、地域住民の防災意識を高める活動に積極的に協力します。
(6)繋がる:国内外のジオパークとの連携強化事業
ジオパークプログラムは、ネットワークで全国および世界のジオパークと繋がり、経験の共有を通じて、自地域課題の解決と他地域課題の解決への貢献を求めています。日本ジオパークネットワーク(Japan Geoparks Network: JGN)のメンバーである私たちは、ネットワークメンバーの責務として、当地域での活動や経験をSNSやインターネット、および全国大会等を通じて発信し、JGNのブランド力の向上に貢献します。
また、自地域の持続可能な開発を阻害する課題を解決するために、ネットワークを利用して他地域の取り組みを学び、事業の改善に活かします。
さらに、世界ジオパークネットワーク(Global Geoparks Network: GGN)や、アジア太平洋ジオパークネットワーク(Asia Pacific Geoparks Network: APGN)が実施している国際ネットワークの活動にも積極的に参加し、世界が抱える地球課題や地域課題の解決に積極的に貢献します。