秋田県にかほ市象潟(きさかた)には、水田の中にたくさんの丘が点在する独特の景色が広がります。「九十九島」(くじゅうくしま)と呼ばれるこれらの丘は、約2,500年前(紀元前466年)に発生した鳥海山の山体崩壊に伴う「流れ山」です。象潟は、かつて浅い海の中に多くの島が点在しており、広島県の宮島、京都府の天橋立とともに日本三景の一つである宮城県の松島に勝るとも劣らないと絶景として人気を博しました。松尾芭蕉をはじめ多くの著名な俳人がこの地を訪れ、その絶景を多くの句に残しています。
しかし、現在ここは陸地になっています。それは、1804年7月に発生したマグニチュード7.0の地震に伴って地面が約2m隆起し、海が干上がったためです。
九十九島の景観は、火山噴火や地震の地殻変動の自然記録として重要であるとされ、1934年1月22日に国の史跡名勝天然記念物に指定されました。地域住民も、この景観を保全する活動を続けています。さらに、九十九島は火山で発生する山体崩壊が創り出す地形の典型的な例として、国際的な火山学のテキストにも紹介されています。
九十九島
地質サイト
