【第80回】自然の恵みを生かした地域活性化
2021年8月1日
鳥海山・飛島ジオパークにはイヌワシが生息しています。見たことはありますか?
人里離れた山奥に生息する印象があるイヌワシですが、実は人の営みと共存した生き物という一面もあります。イヌワシが生きるにはノウサギ、ヤマドリ、ヘビなどを狩ることの出来る森林や草原が必要ですが、どんな森林や草原でも良いという訳ではありません。一見青々としていても管理が行き届かず鬱閉した人工林の場合、翼を広げた長さが2m近くもあるイヌワシは狩りが出来ません。草原も、放棄されて灌木が地面を覆うようになると狩りには向かなくなります。実は、イヌワシの狩り場創出という面において、「林業」や「草原管理」は大切な役割を担っているのです。
令和2年、環境省では、林業や草原管理などの地域産業が活性化することでイヌワシの狩り場創出につながった事例を集めた「自然の恵みを生かした持続可能な地域活性化事例集」を作成しました。http://tohoku.env.go.jp/wildlife/index.html
この事例集を眺めていると、ジオパークの取り組みとの連続性を感じます。「自然の恵みを生かす」「持続可能」「地域活性化」。人と自然の関わりを考える中で見えてくる、共通のテーマなのかなと思います。
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【文・写真】
鳥海南麓自然保護官事務所 自然保護官 澤野歩美 氏