【第77回】レスボス島ジオパーク(ギリシャ)

レスボス島を代表するセコイアの珪化木

地球の表面には46億年の歴史の中で刻まれた「地球の記憶」があります。ジオパークでは世界中の人々とともに、この地球の記憶を守り、学び、活用しています。2021年3月時点で、世界44か国161地域がユネスコ世界ジオパークに認定されており、鳥海山・飛島も世界の仲間入りを目指して歩み始めました。今回はその中からギリシャのレスボス島をご紹介しましょう。

レスボス島はトルコとの国境に位置し、地中海の温暖な気候の下でオリーブの木が生い茂ります。女性たちが経営するレストランへ行くと、島のオリーブを使ったギリシャサラダなどの郷土料理が振る舞われます。そんなレスボス島では約2000万年前の火山活動が活発だった時代、火山灰や溶岩が森を埋め尽くすという出来事がありました。

地中に埋まった森は長い年月をかけて化石となりました。その中にメノウやジャスパーなどの宝石になったものもありました。すると、たくさんの人がやってきて、ここから化石を持ち出していったのです。島の貴重な自然遺産が破壊されていたので、国は1985年にこの地域を天然記念物に指定し、保護しました。その後、自然史博物館が建てられ、ここから世界最初のジオパークの一つが誕生したのでした。

貴重なセコイアの珪化木と一緒に写真をとる様子
東北公益文科大学准教授 新名阿津子 氏
【文・写真】

東北公益文科大学准教授 新名阿津子 氏