【第84回】ユネスコ世界ジオパークの国際的な価値

2021年12月1日

ユネスコ世界ジオパークの評価基準として、国際的な地球科学的価値があることと、世界のジオパークネットワークへの貢献が重要である。鳥海山・飛島エリアでは、中央に鎮座する鳥海山の活動とその崩壊地形、噴火と交差しながら活動した地震による断層や隆起地形、鳥海山が涵養する地下水系など、地球の変動を直接肌で感じることができる。それらの価値の上で育まれた人間の歴史や文化は世界に大きく訴えることのできる財産である。自分の手で地球を測量しようとした伊能忠敬が、その行脚の途中に、噴火する鳥海山を象潟湖の背景に描いた。それが象潟地震発生の2年前であったという偶然に驚く。さらに、ウェゲナーの大陸漂移説からヒントを得て日本海拡大を最初に提唱した寺田寅彦が、飛島や飯森山などで、伊能と同じ天文測量で証明しようとしたのが伊能の約100年後であったことにも目を見張る。この地で垣間見られる日本の地球科学黎明期の足跡も国際的な地球科学的価値と言えるだろう。

今回の訪問で、吉永小百合さんが立った象潟の流山で撮ったことが良い思い出となった。ここ象潟で起こる次の地球科学的イベントは何なのだろうか。



日本ジオパーク委員会 委員長 中田節也 氏

【文・写真】
日本ジオパーク委員会 委員長 中田節也 氏

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