【第109回】自然と調和した農業を、行政・市民が支える
2024年2月1日
※本州での定着が待たれる佐渡島のトキ
地域活性化に向けて、シンボルとなる生きものを決め、自分たちのまちを、その生きものが再び住めるような場所にするという取組があります。実際、コウノトリをシンボルに、水田地域で、餌となるカエルやドジョウ、フナなどの生息に配慮した農業を行い、農産物のブランド化、観光振興につなげているまちがあります。
環境省は、トキの「本州」での定着を目指し、一昨年(令和4年8月)、にかほ市を、申請に基づき「トキとの共生を目指す里地」に選びました。トキはコウノトリと似ており、住んでもらうためには、ドジョウやカエルなどが、有機農業など様々な工夫により、水田地帯に多くいるようにする必要があります。農業関係の土木工事についても、生態系の専門家とよく相談し、自然に十分配慮することが大切です。
自然と調和した農業の導入・拡大という場合、農家の皆さんが様々な負担を負うことになります。行政が生産物を買い取り学校給食で使用したり、消費者が少し高値でも購入したりして、農家を支える必要があります。農家、そして行政や市民それぞれの取組が、地域の農業を、ひいては地域全体を活性化していくことにつながっていくことになると私は信じています。
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【文・写真】
公益財団法人日本生態系協会 専務理事 関 健志 氏