【第55回】鳥海山の残雪風景は日本一!
2019年7月1日
長い冬が去り,新緑がまぶしい季節になりました。この時期の鳥海山の残雪風景はすばらしいものです。残雪が筋状にのこり,雪と黒い山肌とがうねうねとした縞になって見えてきます。
鳥海山は溶岩だらけで,お菓子の「モンブラン」に似ているというお話を前回しました。頭の中にモンブランを思い浮かべてください。ここに粉砂糖をふるってみましょう。粉砂糖でモンブランのマロンペーストが隠れますね。この粉砂糖をちょっと吹いてみてください。マロンの細い筋と筋の間に粉砂糖が残ると思います。
鳥海山は表面が溶岩で凸凹していて,モンブランそっくりです。冬になると強風のために,溶岩と溶岩の間の谷に,吹き溜まりができます。先ほどの実験で粉砂糖を「フッ」と吹いたのと同じです。
雪は春になると解けだします。残雪はなかなか解けません。このようにして溶岩のところが黒く,残雪が白いというたいへんおもしろい残雪模様が見えているのです。
鳥海山の残雪風景は日本一!ぜひ,この光景を改めて味わっていただければと思います。
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【文・写真】
秋田大学教育文化学部教授火山地質学専門 林 信太郎氏