【第43回】大地の力を感じる場所

2018年7月1日

由利本荘市には、鳥海山の火山活動が始まる約60万年前以前の地層や岩石が見られるジオサイト(ジオパークの見どころ)がたくさんあります。

それらのジオサイトの中で、私が最も地球の歴史と大地の力を感じる場所は、「宮沢林道の大褶曲しゅうきょく露頭」です。この露頭は石沢地区の出羽丘陵内にあり、林道の途中に車を置いて30分以上歩かなければなりませんが、現地に着くと高さ50メートル、幅20メートルの大褶曲露頭に圧倒されてしまいます。(褶曲とは、地層が曲げられることです。)

ここの地層は、約1200万年前に深海に堆積した女川層という地層で、堆積後の隆起によって陸上で見えるようになったものです。深海に泥が堆積した時には、地層はほぼ水平でしたが、写真でもわかるように、ここの地層は右上から左下方向に大きく波打ってグニャグニャになっています。この場所は、日本を代表する褶曲露頭の一つなのです。

地層がこのように大きく曲げられたのは、東日本大震災をはじめとする大地震を引き起こしてきた太平洋プレートが、日本列島をものすごい力で押し続けていることによるものです。宮沢林道の大褶曲露頭は、このような大地のパワーを目の当たりにできる貴重な場所なのです。



秋田地学教育学会 板垣直俊氏

【文・写真】
秋田地学教育学会 板垣直俊氏

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