【第85回】山居倉庫とジオパーク
2022年1月1日
山居倉庫は美しいケヤキ並木で知られ、城輪柵跡、堂の前遺跡、旧鐙屋に次いで令和3年に酒田市で4番目の国指定史跡になっています。
大正5年までに建設された14棟のうち12棟が現役であること。また、山居倉庫の120年の歩みは近現代の米穀流通の歴史を知る手がかりとなり貴重なものであることが認められたからです。
景観の美しさが山居倉庫のおすすめポイントですが、ジオの視点からも見てみましょう。
山居倉庫は新井田川の左岸に建設されました。なぜこの場所に建てられたのでしょう?最上川や新井田川を利用して各地から米を集積しやすく積出できる港に近いこと、酒田は風が強く火事が多いため、市街地から隔てることで火事の延焼から米を守ることなどが主な理由です。
建設に際しては、土台が脆弱なため、3.6mの土盛りをして松の杭で基礎を補強しました。庄内大地震で多数の建物が倒壊し大火災が起こりますが、山居倉庫は大きな被害はありませんでした。地震対策にも先駆けた建物だったのです。
ジオパークは地質や地形だけでなく歴史、文化、伝統、防災などいろいろな形で私たちの生活の中に生きています。身の周りをジオの視点で見直すと新たな発見があるかもしれません。
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【文・写真】
酒田市文化財保護審議会委員 五十嵐和一 氏