【第60回】日本海で命を繋ぐハタハタ

2019年12月1日

北西の季節風が吹き荒れ、冬の稲妻が光る頃、ハタハタは産卵のため沿岸に大群で押し寄せます。このハタハタを小型定置網や刺網で漁獲する「季節ハタハタ漁」が始まり、浜が活気に満ち溢れる様子は、秋田県の初冬の風物詩として古くから県民に親しまれてきました。ハタハタは青森県の日本海側~山形県北部沿岸の水深約2~3mに繁茂するホンダワラ等の海藻に卵塊(ブリコ)を産み付けます。この海域はハタハタにとって命を繋ぐ大切な場所です。

最盛期には秋田県だけで2万トン以上のハタハタの漁獲がありましたが、1991年には約70トンまで減少しました。ハタハタの資源を次の世代にも引き継ぐため、秋田県の漁業者は1992年9月から3年間の自主禁漁を決断し、解禁後も漁獲枠(漁獲上限)を設けるなど、資源保護に取組みながら現在まで操業を続けています。

ところで、皆さんはどんなハタハタ料理が好きですか。私は定番の塩焼きが一番好きですが、昔ながらのハタハタ寿司や三五八漬けに加え、近年は唐揚げやせんべいなど様々なハタハタ料理・加工品が登場しており、店頭で新商品を発見することが楽しみの一つでもあります。今年は定番料理に加えて、新しいハタハタの味覚を探索してみてはいかがでしょうか。



秋田県水産振興センター 資源部 研究員 福田 姫子 氏

【文・写真】
秋田県水産振興センター 資源部 研究員 福田 姫子 氏

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