【第121回】ご近所さんと始める防災準備
2025年2月1日
※被災者によるご近所同士での野菜たっぷりみそ汁作り@2019年台風19号災害宮城県丸森町
近年「○年に一度の豪雨」「未曽有の大災害」など、必ず年に1度は聞く言葉になってきているのではないでしょうか? 過去10年近くで20カ所以上災害支援に携わっていますが、現地で重要となっていたのは地域・近所・人との繋がりでした。
2024年元日、日本中を震撼させた能登半島地震や同年7月に起きた秋田・山形大雨災害も繋がりの大切さを痛感した場面がありました。能登半島地震では、地域のキーパーソンが遠方への避難で不在になった際、避難所運営や地区への連絡・周知方法を工夫し情報共有が行われていました。指定の避難所が遠い地区では、被害が少なかった家屋が自主避難所になり、食料などを持ち寄って避難生活を送っていました。
秋田・山形豪雨の一部地域では、家屋一階の天井付近まで土砂や砂利が入り込む被害がありました。とある市では、土木業者と災害協定を結んでいたことから、公共事業を一度休止し、救援ルートの確保や家屋・敷地内の土砂出しが行われていました。人力では何カ月もかかる復旧が、地元業者だからこそ「知り合いの家・地区なんだ」と、丁寧に家の隅まで土砂撤去していました。
コロナ禍やプライバシーの配慮などで人との距離感が難しくなった昨今。防災グッズなどの一人一人の備えも非常に大切ですが、ご近所への挨拶や付き合い、地域の催し物へ参加してみることも、非常時に命を繋ぐきっかけになるかもしれません。
—

【文・写真】
栗駒山麓ジオパーク推進協議会 ジオパーク専門員 手代 千賀 氏