【第24回】「鳥海山と鳥獣被害」
2016年12月1日
近年、全国的にニホンジカやイノシシなどの鳥獣が急速に生息数および分布域を拡大しています。その影響により、農林水産業はもとよりその地域固有の自然生態系にまで被害が広がっています。国内ではすでに自然生態系に甚大な被害が出ているところもあり、世界自然遺産の白神山地でもニホンジカの影響が危惧されています。
鳥海山はどうかというと、昨年の12月に当センターの職員が鳥海山の麓において北庄内で生息(定着)の記録のないイノシシを撮影しました。
また、最近はニホンジカの目撃情報もちらほら寄せられています。これらが群れから離れ偶然そこにいただけなのか、あるいはすでに生息(定着)しているのかどうかは明らかになっておりません。鳥海山は今まで鳥獣の被害とは無縁でしたが、今後の動向に注意が必要です。
鳥獣被害はあくまで一例に過ぎず、どういった要因が自然環境に影響するかについてはまだ明らかになっていないことがたくさんあります。
自然環境保護は見込みの高い要因への配慮(予防)が基本です。豊かな鳥海山の自然を変わらず後世に残すため、些細な変化も見逃さないことが重要です。
—
【文・写真】
鳥海南麓自然保護官事務所 鎌田憲太郎氏