【第50回】秋田の油田地帯と院内油田

2019年2月1日

昭和四十年代以前のにかほ市巾山丘陵では、夜には星よりも明るく灯が点り、眩い夜景が広がっていました。それは当時稼働していた院内油田の灯でした。院内油田は大正11年に上小国集落付近から開発が始まり、その後は北側や桂坂集落に開発が広がりました。しかし平成7年には閉山となり、現在は一部が近代化産業遺産として保存されています。

かつて秋田県は国内有数の油田地帯を抱えていました。明治六年の秋田市旭川油田の開発の後、明治後期~昭和初期を中心に多くの油田が開発されました。黒川、豊川、八森、由利、八橋、院内、桂坂、小滝が当時の油田として挙げられ、中でも院内油田は秋田市の八橋油田と並ぶ大規模な油田であり、日産量が日本最大だったこともあります。昭和30年代まで県内の多くの油田は稼働していましたが、その頃から急速に減退し、多くの油田は閉山しました。

県内にはわずかながら現在でも採油している油田もあり、秋田市では住宅地に隣接する油田を見ることができます。一見するとかつての院内油田とはずいぶん違って見えます。ぜひ産業遺産の院内油田跡と比べてみてください。



秋田大学大学院国際資源学研究科 資源地球科学専攻長・教授 大場 司 氏

【文・写真】
秋田大学大学院国際資源学研究科 資源地球科学専攻長・教授 大場 司 氏

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