【第97回】人間とクマ~今と未来の付き合い方~
2023年2月1日
「昔はこんな所にクマは出てこなかった。最近のクマは…」
このように感じたことのある方は少なくないと思います。実際に、住宅地へのクマの出没は近年しばしば発生しており、全国各地で問題となっています。なぜ、クマは私たちの身近に出没するようになってきたのでしょうか。
大きな要因として、クマの分布拡大が挙げられます。人口減少や高齢化が進む中、無人になった集落、耕作放棄された田畑、人の手が入らなくなった薪炭林や河畔林…そうした場所がうっそうとした藪に変わってきています。
つまり、私たちの暮らしが変化したことで、クマの生活できる環境が集落周辺にまで広がってきた結果、かつて「遠くの存在」だったクマが、今や「お隣さん」になり、出没が身近になったと考えられます。
現在、人間活動が活発だった頃の生活に戻るのは困難です。しかし、私たちには知恵があります。一人ひとりがクマを知り、正しい知識に基づき対策をすることで、出没や事故、農作物被害を抑えながら暮らしていけると思います。
マタギ文化が残り、山菜採り文化が根強く、自然と関係深く暮らしてきたこの地域には、それができると信じています。
(秋田県庁出前講座もぜひご活用ください!)
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【文・写真】
秋田県自然保護課ツキノワグマ被害対策支援センター 主任 近藤麻実 氏