【第104回】経験したことがない領域へ

2023年9月1日

今年はまさに酷暑と呼ぶにふさわしいほどの暑さを私たちは経験している。北海道を含めた北日本でも35度を超える猛暑日が度々記録されている。世界気象機関(WMO)と欧州連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」によれば、2023年7月は世界の平均気温が観測史上最高となるそうだ。古気候学者によれば12万5000年ぶりの暑さだという。このところの天気予報では、「災害級の暑さ」という言葉が度々使われているが、2022年6月から9月の間に1387人が熱中症で亡くなっているので、去年は間違いなく最も多くの死者を出している災害である。

平均気温上昇の影響は、暑さだけに留まらない。降雨量の増大をもたらし、災害リスクを上昇させる。国土交通省によれば、平均気温が2度上昇すると降水量は1.1倍になり、洪水発生頻度は2倍になるという。秋田市では、7月中旬の大雨で観測史上最大の24時間雨量を記録し、1000世帯以上が床上浸水となる過去最大の水害を経験したばかりである。暑さにしても、水害にしても、人類がこれまで経験したことがない領域に入りつつある。私たちは気候変動時代を生き抜くために、住まい方を含めたライフスタイルを改めて考え直さなければいけない。



慶應義塾大学環境情報学部教授 一ノ瀬 友博 氏

【文・写真】
慶應義塾大学環境情報学部教授 一ノ瀬 友博 氏

一ノ瀬友博 氏のその他の記事