【第99回】さぁ、世界へ!故郷の照葉樹林帯
2023年4月1日
ジオパークを歩く、ジオパークを見る、ジオパークを聞く、そして、ジオパークを語る・・・・、しかし、本当に大切なことが語られているのだろうか。
三崎山の溶岩流の末端崖に立って日本海を望めば、水平線には飛島が見える。この両地の植物相をひとことで言えば、「タブノキ-ヤブツバキ群集からなる照葉樹林帯の代表的な群落型が成立している」。そして何よりも大切なことは、この照葉樹林帯が、そもそも熱帯山地型に位置づけられ、日本の北限地であると同時に、世界の北限地であることだ。
なお、照葉樹林帯の北限を由利本荘市とする説もあるが、第一に、飛島と三崎山より北には、それを上回る規模のタブ林がないこと。第二に、北庄内一帯に暖地性植物が濃密に分布することも北限地の根拠とした。念のために言い添えておけば、タブノキ林の北限自生地は青森県深浦町岩崎武甕槌神社境内である。しかし、そこはヤブツバキを欠き、照葉樹林帯とは呼べない寒々とした林相にびっくりした。
「北上する対馬暖流の水平なる水循環による、照葉樹林帯の世界の北限地」これが私たちの故郷だ。
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【文・写真】
フロラ山形 会長 土門尚三 氏