【第98回】鳥海山の二匹の大蛇
2023年3月1日
「学問の神様」と呼ばれる菅原道真はご存知でしょうか?菅原道真たちが編集した朝廷の歴史書にこんなことが書いてあります。
鳥海山が噴火した時「二匹の大蛇があらわれて,相連なって流れ出した。」。なんだか変な話ですね。噴火なのに「大蛇」?
ところで,溶岩は高温でゆっくりと流れますが,いずれ止まります。そして冷えて固まってそのままの形で残ります。その形は,細長くて蛇そっくりです。もっとも溶岩といってもたいへん古いので,すっかり森でおおわれています。
鳥海山の山頂の写真を見てみましょう。溶岩があるのがわかりますか?長くて細くて蛇がたくさんいるように見えますね。実際この辺は千蛇谷と呼ばれています。流れている溶岩はますます蛇に似ています。
溶岩は流れている時,そのさきっぽのところがチロチロと光って見えるのです。溶岩の表面が時々崩れて中の熱いところがみえるんですね。これが蛇の眼のようにみえないこともないのです。
さて,写真をよく見ると2本の溶岩があるのがわかりますか?同じくらいの長さの溶岩が2本あります。まるで,「二匹の大蛇があらわれて,相連なって流れ出した。」ように私には見えるのですが,いかがでしょうか?
というわけで,私はこの溶岩こそが平安時代の噴火であらわれた「大蛇」と考えているのです。詳しくは,https://www.histeq.jp/kaishi/HE17/HE17_171_175_Hayashi.pdfをご覧ください。
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【文・写真】
秋田大学大学院教育学研究科教職実践専攻 特別教授 林信太郎 氏