【第71回】日本海拡大と東北日本の回転
2020年11月1日
日本列島はかつてアジア大陸の一部でした。しかし2000万年前頃に大陸東縁で大地が横に引き延ばされる地殻変動が活発になり,大地の一部が分裂・移動し,1600万年前頃に現在の位置に達したと考えられています。その分裂・移動によって大陸と日本列島との間に日本海が誕生しました。
分裂の痕跡は地層に記録されており,地質学の方法で地層を調べると日本海拡大に伴う大地の隆起や沈降,海水の侵入の様子などがわかります。秋田県や山形県にも当時の地層が分布しており,それらは日本海拡大の重要な情報を記録しています。
大地の横方向の動きは,地層に記録されている過去の地磁気(古地磁気)の研究から推定できます。地磁気があるため私たちは方位磁針を使って北を知ることができますが,地層に記録されている古地磁気の北を調べると現在の北と一致しないことがあります。そのずれが大きい場合,それは地層形成時から現在までの間に大地が回転したことが原因と考えられるのです。この原理を使って,日本海拡大時に東北日本全体が反時計回りに40°ほど回転したことが判明しました。私たちの足元の古い地層や岩石はそうした激動を受けてこの地にやってきたものなのです。
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【文・写真】
愛知教育大学自然科学系(地質学専門)教授 星 博幸