【第57回】ジオがつなぐ海底噴火と神社

2019年9月1日

旧本荘市の市街地の北、子吉川の北側の高台に、新山公園があります。この公園には、裸参りで有名な新山神社もありますが、鳥海山と子吉川、市街地そして日本海を一望できる見晴らしの良さで、地域の人から親しまれています。

新山公園では、標高約一四〇~一五〇メートルの丘が南北方向に並んでいますが、実はこの丘は、約七六〇万年前に海底火山の噴火によってできた「新山安山岩」でできています。海底火山の噴出物が堆積し、その後数百メートル隆起して、現在の高度になったのです。

「新山安山岩」を最も良く観察できる場所は、新山神社の真下にある「椿森」です(ここにはヤブツバキが群生しています)。

「椿森」では、岩山の崖に、マグマが水中で砕けて角礫の塊となった凝灰角礫岩や凝灰岩などを観察できます。かつて秋田県の大部分が海の底だった時代、旧本荘市の北方で大噴火があったことを目で確認することができます。

観察中に崖の下に目をやると、多くの石仏が目に留まります。この石仏は、公園ができた時に西国三十三観音を模して、近くの石龍寺から移されたものだそうです。

新山神社の起源は、修験者が新山安山岩の岩山で修行を行ったことに由来するそうです。ここは、海底噴火と神社がつながる面白い場所の一つです。

 



秋田地学教育学会 板垣直俊氏

【文・写真】
秋田地学教育学会 板垣直俊氏

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