【第21回】-黙して物語る鳥海山-

2016年9月1日

column-saito

あの偉大な鳥海山のことを私は何も知らない。鳥海山は何ものであるのか、随分と時間をかけて考えてきたはずなのに、杳として知れないのです。人類がまだ存在しない以前の、遙か、遙か昔にできたという鳥海山。それをわずかな江戸時代までに巻き戻しても、歴史や文化の一面だけしか明らかになっていないと思われます。

鳥海山を敬仰する上でも、知りたいことは、山ほどあるのです。かつて、8月1日(旧7月1日)は「山詣り」の日で、鳥海講中をはじめ多くの人びとが登拝しました。特に、山麓の村々では必ず20歳になった若者は、前日からの精進潔斎をして、まだ夜明け前の暗いうちから山頂の神社を目指し、登拝していたのです。それは、この登拝によって一人前の若者として村人からも認められたからです。こうした風習は江戸時代からみられ、若者を導き鳥海山の神威を説いた人がいました。修験者です。恐らく一人前の精神まで鍛えてくれたでありましょうか。近年、その証拠の文書を発見することができました。ですから、少しずつ確かめていくしか、鳥海山の本物の姿はみえないかと思います。

黙して語らない鳥海山ですが、その真実は鳥海山の記憶の中に、確かに刻まれていることだけは、忘れてはならないでしょう。


【文・写真】にかほ市文化財保護審議委員 齊藤 壽胤氏
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